younan105’s diary

徒然なるままに…気ままに日記

④電話の向こうから聞こえた声

 

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…つづき

 

どんな人か電話で伝えれば視ることが出来ると言われても、人様の個人情報漏らす訳にはいかんなぁ…などと思っていたら、イメージを送るだけでいいと言う。

それならば…と件の気になるご夫婦を一人ずつ思い浮かべてみる。まずはご奥方から…

 

「男の人が一人います」

次にご主人の姿を思い浮かべる。

 

「ヒ‥ァッ」

微かな悲鳴のような呻き声の後、しばしの沈黙。


「6人…いや、7人?…います…凄い…」

電話の向こうから聞こえる、彼女の押し殺したような声とその内容に、若干ビビる私。

 

「この方は凄く腰が悪い、特に右…お尻の上辺り。そして肩、左肩…首の後ろ辺り。あと目…本人は眼精疲労だと思っているかも知れませんが、違います。特に左目の奥が…」

 

それはまさしく、自分が聞き知っている通りのご主人の不調の数々だった。(目の不調は知らなかったけど、後日奥方にこの話をしたら、まさにこの通り!…だそうで。)

 

奥方については、特に何も言ってなかったけれど、気になったのでどんなもんだか聞いてみた。

 

「奥様の方は…大丈夫、すぐ離れます。」
やはり何の問題も無いみたい…よかった。


「でも、ご主人の方は…かなり厳しいと思います。もし施術するにしても、こちらへ連れてこようとすると、何だかんだと理由をつけて、絶対に近寄りたがらないでしょうから。」

 

 どうやら、憑いている者たちにとって不都合な事は、本人の意思とは関係なく、さり気なく邪魔されるらしい。逆に都合のいい方へと、引っ張っていく。自分でも訳がわからずとる行動は、霊の干渉であったりするそうで、何となく思い当たる事も…なるほど。

 

精神的に隙のある、乗り心地の良い生身の体に、体を持たぬ精神体がタダ乗りする。憑かれるって、そういう事なんだそうだ。

 

「もし何とかしようと思うならば、ご本人ではなく、まずは奥様と話をした方が良いと思います。」

 

➖➖後日談➖➖

 

数日後、その話を奥方にはしたけれど、そういう方面でのアプローチには至らないまま時は流れ…

 

事態はさらに悪化して、ご主人はますます手に負えなくなり、奥方の苦渋の判断の末に司法の判断も手伝って離婚。

 

しばらく後にご主人の訃報を聞いた。

何でそんな所でそんな事に?と首を傾げたくなるような…まるで何かに引っ張られてしまったかのような、彼が運転する車の単独事故だった。

 

何だかんだで慌ただしかった身辺が落ち着いた頃、奥方が何の因果か仕事で訪れたその土地で、霊能力のある知人に言われたという言葉を後に聞いた。

やはりというか何というか…何となく想像していた通りの話であった。

 

この話をふと思い出す度に、電話の向こうから聞こえた『ヒ…アッ』っという呻き声を思い出しガクぶるのであった。(←そこ)